2005年春から始まった発掘調査の概報をお伝えします。


by matsumotoken

UQ2008年発掘調査終了

10月27日にアンマンを出て、一時帰国する。これで一応2008年のUmmQaisの調査は終了する。勿論後には遺物整理などなどが残されている。今回で明らかになったことは大きく層位が4つに以上になるだろうということ。上からいくと、近代に塹壕が掘り込まれた施設と表層、次にモザイク床と恐らくバサルトの基礎壁、その下が白い石灰岩の小さな礫、粉状の堆積層、そしてその白い石灰岩層に埋まった住居?跡漆喰付きの厚い壁、さらにその下に古そうな壁がある。と言ったところでその下は未発掘。問題はその年代、今我々の発掘地で出てきている遺物はほとんどビザンチン時代の土器恐らく6世紀頃、しかしこれらの層位をすべてビザンチンと考えるのは少々無理がある。かといってより古そうな土器片(ローマ時代?)は今のところ、最下層に僅かに、しかしいままで発掘していた中で、軍隊に伴う遺物は別として、新しい遺物は小片の釉薬つき陶器の数片のみ、恐らくアユーブマムルーク時代である。これでは量的にビザンチンとしか言いようがない。勿論遺構の構造状況もあわせて考察をしなければならないが、なかなか簡単には年代決定できない。今までもドイツ隊を中心に色々と年代論争はされてきたが、まだまだ未解決の遺構や層位が多い。今から遺物整理の方も楽しみだ。
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今日も雨が降った、この雨季は皆に絶対必要な水の確保の時期だ、我々も遺跡の高いところから溝を入れて雨が降ったらその雨水を集めて地下の貯水槽に集める。我々の地下の貯水槽は175立方メートル(Jaffar計算)、4年間くらいの生活水は大丈夫とのこと。こうして古代から皆天水に助けられて生きてきたのであろう。
by matsumotoken | 2008-10-26 04:08