2005年春から始まった発掘調査の概報をお伝えします。


by matsumotoken

一足先にアイード(イスラムの感謝祭)

クル サナ インタ サイード (何時も貴方に幸福がありますように)
結局、石崎さん、西浦さんの調査に同行させていただいた。ヨルダンの各遺跡特にビザンツ時代の教会そしてそれに伴う壁画やモザイクをどのように修復保存しているか、またしていくべきかを調査するとのこと、我々にももっとも関係することであり、同行させていただいた。主な遺跡はウム・カイス、アビラ、ベーイト・ラース、ペッラ、ジャラシュ、ウム・アル・ジマール、マダバ、ウム・アル・ラッサース、ペトラ、小ペトラ等である。
 この中で私が始めていったのは、ウム・アル・ジマールという遺跡でヨルダンの東北地域でマフラックから東20キロくらいのシリアの国境に近い砂漠にある。アメリカ隊が調査していると聞いていたが、行ってみると、黒い玄武岩がごろごろとして、城壁に囲まれ、その中の幾つかの建物は崩壊寸前でありながらも形を残している。ローマから初期イスラム即ちウマイヤ朝時代まで隊商都市として栄えたようだ。しかしウム・カイスのような、ローマの薫りはあまりしない。中には岩盤を刳り貫いて造られた巨大な貯水槽がいくつも残っているが、まだ発掘は進んでいない。しかし博物館はらしき建物が建設中のようである。
この隊商都市は砂漠にある交易路で、おそらくパルミラ、ボスラ、ウム・アル・ジマール、ペトラなどを行き来していたのだろうという点で、またイラクの西南砂漠にあるクセイル、アッタール、アインシャイアなどの関連が考えられるから、個人的には非常に関心がある遺跡である。さらにウム・カイスにおけるセム系の人々、或いは地域の人々のローマやビザンチンに与えた影響を知る上でも非常に重要な遺跡の一つと考えている。
この砂漠には他にも多くの隊商都市や要塞が埋もれている。
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Umm al Jimalにて
by matsumotoken | 2009-11-29 15:43