2005年春から始まった発掘調査の概報をお伝えします。


by matsumotoken

シリアとヨルダンとの国境での爆撃音が聞こえない?

7月31日に激しい爆撃の地響きがあったと報告しましたが、次の早朝には少々ドーン,ド~~ンと小さく聞こえたけれど、あれっ、異常に小さいな、爆撃は終わったかな、決着がついたのかと思ったところ、このところ爆撃音は全く聞こえず、昨日の話では戦闘はトルコとの国境にまだ残るが、ここヨルダンとの国境はもう開かれているとの話で、自由に出入りできるらしい。非難してきた人も帰ることができるらしい。政治のうえでは、荒廃した都市の再建設問題などが主題となっているとのこと、ただ米と露の駆け引きが裏では成されていることだろうと容易に察することが可能だが、復興までにはまだまだ問題が山積みだ。文化遺産保護の立場だと、パルミラや博物館など、気がかりなのは文化遺産の状況だ。北イラクのハトラやニネヴェやニムルド、博物館などもどうなっているのだろうか?何とかしたいものだが・・・・

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 20180804の朝8時前のウムカイスの東の空
ウムカイスの8月の空にこんなに雲が覆っているのは見たこともない、雨が降るのではないかと思ったほどだ、そのため早朝も暗く時間を間違えたくらい。それだけなら成程日本でもそうだし、気候変動かなと思えるだろうが、これにいろいろと尾鰭が付いてくる。それがまたシリアでの爆撃の粉塵が舞っているのだとか、7月31日の地響きは地震だったらしいとか、などが風評が飛び交う(地震の風評は東郷先生が論文にもされている)。この欄でも私が冗談のように遺跡内の倉庫兼作業部屋の天井が剥がれたのも、これが地響きと即ち爆撃のせいではないかと書いたのが、実は同様に我々発掘区域のところにヨルダンチームの発掘事務所があり、現在は閉鎖されていたのだが、ななな~~~んとこの建物の天井も同じ頃に剥がれていたのであった。同時期にこんなことがあるのかな?ジャファーもびっくり・・・!奇妙な現象があちこちに起こっている?こういういろいろな通常では理解できない現象が地下に埋もれた世界では起こっていた。それを紐解いていくのが考古学の醍醐味である。それが実際にあるのである。
因みに我々の倉庫兼作業室の天井は安全確保のため、全面はがし、当分はそのままにして、後でペンキを塗ることにしよう。
古代からこの屋根や天井をどう造るかが問題であり、難題だった。ウムカイスの博物館はロサーン部族長が住んでいた家屋を修復して、展示室などに改良しているが、天井を鉄筋コンクリートなどにするとその鉄筋が錆びて来てやがて天井が崩壊する。我々の家屋の天井も鉄筋の錆びが原因だ。一階建てだと葦を並べて通気をよくする方法が昔からとられている。これだけこの地域は湿気がかなり高いのである。

by matsumotoken | 2018-08-06 22:41