2005年春から始まった発掘調査の概報をお伝えします。


by matsumotoken

北イラク、モスルの復興事業始まる。イラクはいける様になるのでしょうか。

ニュースと言えばやはり一応、皆様には報告しておかねばならないでしょう。
 2018年9月10にパリのユネスコ本部でモスルの復興会議なるものが開かれまして、何故か1ヶ月前に連絡があって、会議に出席してくれないかとの話で、その具体的な話は何時ものことですが、前日に始めてプログラムが決定するような国際会議です、国際会議は何処でも恐らく同じでしょう、裏ではぎりぎりの交渉がなされているのでしょう。そして私は9月9日にアンマンからパリに出て、その夜はパリで泊で、次の日10日10:00から

Audrey Azoulay, Director General of UNESCO

Mahdi Al-Alak, Secretary General, Councilof Ministry, Republic of Iraqなどユネスコ関係、イラクの政府関係者が次々に発表。モスルの午前中に終わったところで、UAE がモスールのal-Hadba Minaret, al-Nuri Mosqueの修復について、500万ドルの支援を行うことは何度も発表されたが、今回新たにイタリアが100万ドルの支援を実施すると報告された。その他は諸々研修など支援しますと各国から発表。ところが日本からは具体的数字は発表されず、今後も継続して支援していきますなどで挨拶のみ。何か政治的な事情があるのでしょうが、少なくとも私にとっては、盛り上がらない会議であった。さらに通常は我々のようなイラクの専門家が各国から呼ばれて、どのように修復するのか検討されるはずの委員会なりが設立されて修復が進められるべきなのだが、今回はその会議が円卓になっておらず、一方的に話を聞くだけの講演会のようなものであった。2003年のイラク戦争後のイラクの文化遺産復興支援調整会議(ICC)はイラクの専門家が各国から招集されて、現地での被害状況を調査して、それに対してどのような復興がなされるべきかが討議され、各国から特に日本やイタリアは多額の支援金が拠出された。しかしながら現地イラクへは行けないことから、その支援の一つとして、文化遺産の第三国研修をヨルダン、ウムカイスで5年間(2005年ー2010年)+2年間(フォローアップ)実施してきたのである。そこにイラクの研修生(イラクの考古遺産庁の職員約20人)たちとの交流も行われるようになり、今日まで、続いている。この研修に関わってきた仲間はこの事情を経験してきたことから、恐らく北イラクモスルの文化遺産の復興には当然のように日本やイタリアからも支援がなされるだろうと言うことは考えていた。しかしこれも時代の流れなのか、日本の事情の変化なのか?今度こそ、近いうちにイラクで発掘や調査が出来るようになるだろう、仕事が出来るようになるだろうと思っていた人たちにとって、またイラク側にとっても、当てが外れたというところでしょうか。今後イラクとの関係が心配されるが、しかしながら私は近いうちに日本からの支援が検討されるだろうと確信している。我々、特にこのブログを読んでくれている人たちは、文化遺産に強い関心を持っている人たちであることは解っているのだが、そこで是非皆さんもイラクの文化遺産がISによって破壊されましたが、この復興に対し、我々に何ができるでしょうか、考えて欲しいのです。私なりの考えは日本政府側にも提案はしてありますが、会議が終わって帰るときに前のICCメンバーの英国のDr.John CurtisとイタリアのDr.Parapettiはsee you soon!といっておりました。すなわち近いうちに専門家会議がひらかれるだろうということと私は理解しました。また帰りに考古遺産庁長官と言うより、文化副大臣のDr.Caisiさんに挨拶に行ったら、早くウムカイスを引き揚げてイラクに来てくれ!と言ったのか来い!と言ったのかは定かではないが、そういう風に聞こえました。早くイラクへ行けるようになると良いですね。アッラーケリーム! ウム・カイスの宿舎からの報告でした。

by matsumotoken | 2018-09-16 03:40